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闘魂 サバイバル生活者のブログ

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金貸しと戦争

金貸しと戦争―副島隆彦の仕事

副島隆彦「時代を見通す力」(PHP研究所)を通して、プロの作品を堪能している。そこら辺に転がってるブログと同じテーマなんだが、プロの作品はさすがに脇が堅い。ブログを渉猟するのは、テーマ探しや予備知識の仕入れには非常にいい。しかし、同じテーマでも気に入った論者が見つかったらその時点で、身銭を切って作品を読むのがいい。プロも万能ではないし、飽きたなと思ったら、テーマ探しと予備知識の仕入れをブログで行う。これを繰り返す。もちろん時代にアンテナをピンと張る。で、変化の兆しを読んで、家族の生活を守りたいからだ。多言語で出来ればいうことないけど今となってはむずかしい。以下、副島隆彦(上掲)より引用。英国と米国の覇権争いがどのように日本の政治に影響を与えてきたか、ロスチャイルド系資本=三井閥=政友会、およびロックフェラー系資本=三菱閥=民政党という図式で、歴史を読み解く試みだ。

…日本はこの時期に、イギリス(大英帝国の末期)主導の世界秩序から引き剥がされてアメリカの家来になりつつあった。東アジアに戦争を計画的に起こそうとするロックフェラー財閥の意思に、日本はひきずられていった。

ロスチャイルド(イギリス)は、「日本は中国と戦争をするな」と言い続けたのだ。だから、渋沢栄一の息子たち(渋沢秀雄氏他)や、西園寺公望の息子(公一氏)たちが、日米開戦を阻止しようとして投獄、暗殺を覚悟で必死で動いていた。それなのに、これらの大きな事実を日本の昭和史研究家たちは半ば意図的に書こうとしない。みんな大きくはアメリカ・ロックフェラー家の買弁だからである。

私はこのように書いて一歩も退かない。このあとは日中戦争、そして太平洋戦争である。その地獄への道を浜口と井上が担ったということである。やっぱりいまの小泉純一郎と竹中平蔵の二人と実にそっくりである…

…この背景には、どれほどの外側からの強い圧力が日本にかかっていたか、ということであっただろう。

浜口と井上が「人が変わったようになって」強引に実施した金解禁は、やがて右翼の攻撃を受け、二人は次々にテロで斃れる。おそらく口封じである。射たれて病床にあった浜口首相は1931年(昭和7)4月辞任し8月に逝去。そのすぐあとの9月に満州事変が起きた…

…三井財閥はあのとき、大番頭・池田成彬の時代に大きな間違いを犯したのだ」とする歴史の審判を私は言わなければ済まない。三井は、欧州ロスチャイルド家の言うことを聞いて、寺内正毅が布いた中国への平和な経済援助(西原借款)の路線を守るべきであった。それを目先の金と為替(円ドル相場)の投機に目がくらんだ…

…1932年(昭和7)3月、三井合名会社理事長・団琢磨が右翼によるテロに斃れた。その翌年9月に、「反省した」三井は、池田成彬の名前で、有名な「三井の方針大転換」を発表する。これは表面上は日本国民を苦しめるような商品投機や金融投機は以後は行わず、慈善事業に力を入れますというものだった。

しかし、大きな真実は、前述したとおり世界覇権が欧州ロスチャイルド家から米国ロックフェラー家に移ったことで、三井財閥が大きく動揺して先読みに失敗し、判断を誤ったことを示している。それがその後の2つの戦争(対中国と対アメリカ)への地獄と昭和20年の敗戦へとつながった。そして三井財閥自身もマッカーサー司令部による財閥解体という厳しい自己処罰につながったのである。

だから池田成彬に井上準之助を論じる資格はない。なぜなら井上の方がもっと切実に、金解禁実施の圧力、いや脅迫を、J・D・ロックフェラー1世の忠臣であったトーマス・ラモント(モルガン財閥)から受けていただろうからである。

このように、昭和の初めのやがて戦争の泥沼にはまってゆく状況は、今の日本とそっくりだと私は思う。金解禁は平成の”金融ビッグバン(金融自由化)”によく似ている。アメリカに脅迫されて無理やり実行させられ1998年(平成10)4月に実施された。橋本龍太郎政権の時から圧力がかかっていた…

…はっきり書く。昭和戦争史の中心であり現在もなお言論界の定説である「海軍善玉、陸軍悪玉(海軍は平和主義者だった。陸軍が悪かったのだ)」論は大きな嘘である。

本当に大悪である。この大悪の理論を仕組んだ人々が、日本の戦後の保守言論界にいる。今も重鎮として存命している。本当に悪いのは、アメリカに操られた海軍のトップたちである。名指しをするなら、米内光政海相、井上成美海軍次官(大将)、山本五十六連合艦隊司令長官である。私は、この大きな真実を日本国民に叫ばないではいられない。

2002年刊の「米内光政と山本五十六は愚将だった」(テーミス刊)が戦争研究の貴重な文献である。著者は三村文男氏という今年(2008年)90歳になられる神戸のお医者さんである…その三村氏が大きな真実をはっきりと書いて公表している。この著作を読めば「陸軍悪玉・海軍善玉」説の迷妄は一気に覆されるだろう。

一般的に平和論者として英雄視されてきた「米内光政・井上成美・山本五十六」の海軍三提督は、単に愚将であるどころか、日本を戦争にひきずり込んだ張本人たちだった。三村氏はそのあたりを丁寧に、一つひとつ確かな根拠を挙げてきちんと論証している…

…まず挙げられるのが、1932年(昭和7)1月と1937年(昭和12年)8月の2度にわたる「上海事変」だ…

…前述した政友会系の政治家(首相)たちは、原敬も犬養毅も高橋是清も「中国には借款(経済援助)をせよ。戦争はするな」とずっと主張していた。だから3人とも政治テロで暗殺されたのである。この大きな真実を日本史学者であっても平易に書かない。書いて国民に伝えようとしない。だから、たいして歴史資料(文献、史料)を読み込む力も、その人生時間もない私のような人間が、書くしかないのだ。

今の今でも日本の保守派の人々は、アメリカにだけは逆らわず、アメリカの言うとおりに巨額の日本国民の資金を差し出し(米国債を大量に買いつづけ)、用もないのに兵隊(自衛隊)をイラクにまで派遣させられる…

…アメリカに逆らうと日本にいいことはないから」とわかっている。みんな分かっているのだ。日本人であれば小学生でも分かるらしい。日本はアメリカの属国(朝貢国、a tributary state)なのである。もう日本国内に異論はないぐらいに、このことははっきりしている…

なんとかならんかね。この状態。名もなく、力もない、一民間人にすぎない私にはどうすることもできない。先のことはわからんけど、副島隆彦とその弟子たちの動向はフォローしたいと思う。ただ、ロスチャイルド系資本とロックフェラー系資本という対立図式は、あくまで図式だというさめた見方も必要かも知れない。現実はもっとぐちゃぐちゃしていて、利害関係者があれやこれやと旨い汁を吸おうとしているんだろう。電話を掛けたり、飲み屋で密談をしたり、だれがだれの手先かなんて電話を掛けてる自分もわからないし、飲み屋で密談している相手の素性もわからない状態の中でインタラクションをやらざるを得ない。だれがワルなのか、だれが正義の人なのか、生活に追われながら判断はできないということだ。だから、副島氏の存在は貴重。しばらくは、プロの見立てを堪能したい。


2008年8月10日 根賀源三


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